【楽天ふるさと納税上限額】住宅ローン減税込みで計算する方法 平成28年度
2017/05/21
楽天ふるさと納税の上限額を
住宅ローン減税がある場合で
計算する方法をご紹介します。
以前にも、ふるさと納税の上限額を
計算する方法を記事にしていたのですが
計算方式が変わったことや
分かりにくさもあったので
新たに平成28年度版として
記事を書き直しました。
*平成27年度税制改正により
個人住民税の特例控除額の限度額の
20%まで引き上げられました。
ふるさと納税の上限額を計算する
参考にしてください。
おススメの楽天ふるさと納税情報を
記事下に掲載しています。
ふるさと納税の上限額を計算する方法
ふるさと納税の上限額を
計算するためには
下記の2つの数字を
用意する必要があります。
- 所得税(所得税率)
- 住民税所得割額
これらはサラリーマンなら
源泉徴収票と市民税の通知書に
記載されています。
手元に用意してから
読み進めてください。
ふるさと納税寄付金控除額と上限限度額
ふるさと納税寄付金控除額は
下記のように3階建てになっています。
細かい言葉は見ずに
とりあえず3階建てなんだな
くらいで読み進めてください。
- 所得税寄付金控除:所得税から控除
- 住民税基本控除:住民税から控除
- 住民税特例控除:住民税から控除
この①の所得税寄付金控除だけが
所得税から控除されます。
単純に①だけが控除されるって
覚えておいてください。
簡易的にふるさと納税の寄付金上限額は
所得税率と住民税所得割額を用いて
以下の式で求めることが出来ます。
寄付金上限額
= 住民税所得割額 × 20%
÷ (90% - 所得税率 × 1.021)
+ 2千円
計算式にアレルギーが出る方用に
早見表を作成しました。
寄付金上限額の早見表を示しています。
クリックで拡大します。
左端の列で住民税所得控除額を探し
次にその行で所得税率が一致する列を見付ければ
おおよその寄付金上限額を求められます。
住民税所得割額が25万円で
所得税率が10%であれば
64,664円が寄付金上限額と
求めることができます。
では、この早見表に必要な2つの数字
住民税所得割額と所得税率は
どうやって求めるのでしょうか。
お急ぎの方は『所得税率はここを見る』の
見出しまで飛ばして読んでください。
所得税率と住民税所得割額の求め方
まずは源泉徴収票を
手元に用意してください。
所得税率や住民税所得控除額の計算では
上図の4つの数字で示した金額が重要です。
- 支払金額
- 給与所得控除後の金額
- 所得控除の額の合計額
- 源泉徴収税額
これら4つの数字の成り立ちが分かれば
所得税率も住民税所得控除額も
簡単に求めることが出来ます。
① 支払金額
事業主(会社)があなたに支払った
年間の額面のお給料です。
ここには交通費などは含まれません。
要するに左端は額面です。
② 給与所得控除後の金額
上図のように収入金額から
給与所得控除された金額が
給与所得控除後の金額です。
給与所得控除は以下の表で求められます。
支払金額 | 給与所得控除額 |
~180万以下 | 支払金額×40%(65万未満の場合は65万) |
180万超~360万以下 | 支払金額×30%+18万 |
360万超~660万以下 | 支払金額×20%+54万 |
660万超~1,000万以下 | 支払金額×10%+120万 |
1,000万超~1,500万以下 | 支払金額×5%+170万 |
1,500万超 | 245万円 |
計算の仕方は以下の手順です。
例として支払金額500万円で示します。
- 支払金額が含まれている行を探します。500万円は360万超~660万以下に
含まれています。 - 次に右の列の計算式で
給与所得控除額を計算します。
500万円の場合、給与所得控除額は
500万円×20%+54万=154万円です。
- 支払金額から給与所得控除額を引くと
②の給与所得控除後の金額が求まります。
500万円 - 154万円 = 346万円
③ 所得控除の額の合計額
上図において
『人・保険の控除』と示した部分が
所得控除の額の合計額です。
人の控除部分
人の控除とは扶養控除のことで
生計を一にしている親族の有無
人数や年齢で少し面倒な計算になりますが
下記の表を参考にすれば簡単に求められます。
なお、配偶者以外の扶養家族の定義は
以下の3点です。
- 6親等内の血族及び3親等内の姻族
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
収入103万円以下の配偶者 | 38万円 |
収入103万超〜141万未満の配偶者 | 3-38万円 |
配偶者以外の扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
特定扶養親族(19歳以上23歳未満) | 63万円 |
70歳以上の同居の親族 | 58万円 |
障害者(特別障害者) | 27万円(40万円) |
16歳未満の扶養親族(子供など)は
計算には含まれません。
子供が高校生など16歳以上であれば
配偶者以外の扶養親族になります。
65歳の同居の親も配偶者以外の扶養親族です。
もし同居の親が75歳ならば
70歳以上の同居の親族が適応されます。
また、子供が20歳の大学生の場合は
特定扶養親族が適応されます。
仕送りも生計を一にしているとみなされます。
逆にバイトで年間38万円以上稼いでいる場合は
扶養親族から外されます。
源泉徴収票には人の数も記載されていますので
上記の表の金額と人数を掛けて
人の控除部分を求めます。
保険の控除部分
サラリーマンの場合
厚生年金や健康保険として
社会保険料を支払っています。
その合計金額は
源泉徴収票の『社会保険料等の金額』として
記載されています。
さらに、生命保険や地震保険の控除額も
『生命保険料の控除額』
『地震保険料の控除額』として
源泉徴収票に記載されています。
例 専業主婦の配偶者と大学生の息子(20歳)の家庭の場合
サラリーマンで
社会保険料の金額が100万円
生命保険の控除額が5万円
地震保険無しで考えると
基礎控除 | 38万円 |
配偶者控除 | 38万円 |
特定扶養親族 | 63万円 |
社会保険料等の金額 | 100万円 |
生命保険の控除額 | 5万円 |
合計 | 244万円 |
サラリーマンは個人事業主のように
経費がありませんので
基礎控除として38万円が必ず引かれます。
上記の合計金額が
③の所得控除の額の合計額に示されます。
④ 源泉徴収税額
②の金額から③の金額を引いた金額が
課税所得額です。
この課税所得税額と以下の表から
所得税が求まります。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
計算の仕方は以下の手順です。
例として②の給与所得控除後の金額が300万円
③所得控除の額の合計が100万円の場合で示します。
- ②から③を引いて課税所得額を求める。300万円 - 100万円 = 200万円(課税所得額)
- 表から課税所得額が含まれる行を探す200万円なので、195万円超~330万円以下
- 税率と控除額から課税額を計算
税率は10%、控除額は97,500円なので
200万円 × 10% - 97,500円 = 102,500円
ここで寄付金額上限額を計算するために必要な
所得税率を求めることができました。
所得税率はここを見る
②から③の数字を引いた金額が
当てはまる場所の所得税率を見るだけです。
課税所得 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
②から③を引いた金額が350万円なら
330万円超~695万円以下となり
所得税率は20%です。
住民税所得割額は?
所得税と同じように課税所得額を求めます。
ただし、以下の2点だけ異なります。
- 基礎控除が33万円
- 配偶者控除が33万円
以上の2点だけ変更して
課税所得額を計算します。
この金額に
10%(県民税4% + 市民税6%)を掛ければ
住民税所得割額が求まります。
②から③を引いて10万円足せば求まります。
例 支払金額500万円サラリーマン アルバイト(年収60万円)の配偶者あり
社会保険料と生命保険の控除額の
合計が80万円とする。
- 支払金額500万円なので
表から給与所得控除は154万円。
控除後の金額は346万円。 - 配偶者は年収103万円未満なので
配偶者控除で38万円。
(住民税の配偶者控除は33万円) - サラリーマンなので基礎控除が38万円。
(住民税の配偶者控除は33万円) - 子供や親族などの配偶者は無しなので
所得控除の額の合計は156万円。 - 346万円から156万円を引いて、
課税所得は190万円。 - 195万円以下なので所得税率は5%。
- 次に住民税の所得控除の額の
合計は146万円。 - 346万円から146万円を引いて
課税所得は200万円。 - 200万円 × 10% = 20万円。
これが住民税所得割額。 - 住民税所得割額20万円。
所得税率5%を上記の早見表で確認すると
ふるさと納税の上限額は49,117円となります。
住宅ローン減税を含めたふるさと納税の計算方法
ここから住宅ローン減税を含めた
ふるさと納税の計算を考えていきます。
住宅ローン減税の仕組み
住宅ローン減税額と所得税額
住民税所得控除額について整理します。
① 所得税 > 住宅ローン減税額
所得税額に対し
住宅ローン減税額が小さい場合
住民税所得控除額はそのまま課税されます。
② 所得税 < 住宅ローン減税額
一方、所得税額に対し
住宅ローン減税額が大きい場合
あふれた住宅ローン減税額は
住民税所得控除額から引くことが出来ます。
上記の図のように
住民税所得控除額は少なくなります。
具体的な数字を入れたら
下記の図のようになります。
このようにあふれた5万円は
住民税所得控除額から引かれます。
③ 住宅ローン減税額 - 所得税 > 9.75万円(13.65万円)の場合
このあふれた住宅ローン減税にも
上限額があります。
- 平成26年3月までのローン(税額5%):9.75万円
- 平成26年4月以降のローン(税額8%):13.65万円
上限額を超えた住宅ローン減税での
還付金はもらえません。
例)上記の図で住宅ローン減税額が25万円の場合
15万円があふれます。
しかし、住民税からは13.65万円しか
引くことが出来ません。
住宅ローン減税が特定の場合にのみふるさと納税の上限額に影響
住宅ローン減税額が所得税額を超え
さらに住宅ローン控除上限額を超える場合にのみ
寄付金額上限に影響します。
つまり、③の場合です。
影響するのは、最初に紹介した
上限額計算の3階建ての所得税部分です。
各設定ごとにふるさと納税上限額への
影響を見ていきましょう。
① 所得税 > 住宅ローン減税額
所得税から住宅ローン減税を引いても
所得税が残っている場合です。
所得税が残っているので問題なく
ふるさと納税の上限額は
住民税所得割額と所得税率から求められます。
② 所得税 < 住宅ローン減税額 (減税上限内)
ふるさと納税の寄付金額は住宅ローン減税より
先に課税所得額に計算されます。
寄付金額により、課税所得額が減ると
所得税額も減少します。
住宅ローン減税があり
住宅ローン減税の上限内であった場合
この減少分も住民税所得控除額から
引くことが出来ます。
これも、上記と同様にふるさと納税の上限額は
住民税所得割額と所得税率から求められます。
③ 所得税 < 住宅ローン減税額 (減税上限以上)
住民税で住宅ローンの減税額が
上限に達している場合
ふるさと納税の上限額に影響が出ます。
- ふるさと納税による寄付金控除で
所得税額が圧縮され、所得税額が減少。 - 所得税額から引ききれなかった
住宅ローン減税額を、住民税所得割額から引く。 - 上限額を超えているので
寄付金控除で押し出された部分は控除されず。
この金額は、下記の計算式から求まります。
(寄付金額-2,000円) × 所得税率
50,000円の寄付金で所得税率10%の場合
住宅ローン減税額が上限に達していたら
4800円の自己負担金が増えます。
まとめ
以上、住宅ローン減税額があった場合に
ふるさと納税の上限額を計算する方法を
ご紹介しました。
ふるさと納税の上限額は
所得税率と住民税所得割額が分かれば
簡単に計算することが出来ます。
源泉徴収票があれば2つ目と3つ目の数字から
両方の値を求めることができます。
住宅ローン減税額が
住民税側で上限額に達している場合
自己負担額の増加がありますが
増加を考慮してもかなりの額を減税できるので
躊躇せずにふるさと納税すべきでしょうね。
なお、2016年12月31日までの
ふるさと納税額は
2017年に適応されますが
2017年1月1日以降は
2018年の適応になります。
来年に減税の恩恵を享受したい場合は
早めに動くことをオススメします。